2011年3月26日土曜日

義援金 どう使われるの?

東日本大震災:暮らしどうなる?/9 寄付で被災者を支援

【東日本大震災】東日本大震災で親を亡くした子供たちを支援する「あしなが学生募金」に寄付する男の子=神戸市中央区で2011年3月23日午後1時20分、馬場理沙撮影

 ◇気持ちに合った団体に/詐欺や便乗商法には注意を

東日本大震災の被災地では、津波で壊滅的な被害を受け、県外からのボランティアを受け入れるのも困難な地域もある。ボランティアで現地に行けなくても、支援につなげられる行動が寄付だ。寄付は被災者に直接見舞金として渡る義援金と、現地で支援に当たる団体の活動資金になる支援金二つに大きく分けられる。寄付はどう使われているか。また、寄付する際、どんな注意が必要だろうか。

見舞金を集める代表的な窓口は、日本赤十字社や中央共同募金会などが実施する「東北関東大震災義援金」だ。集まったお金は、被災した都道府県を中心に、両団体や報道機関などで作る「義援金配分委員会」が配分割合を決め、被災者に届けられる。
阪神大震災で同様に集められた義援金は、受け付け開始から1年で約1735億円に上った。各被災者への配分は死者・行方不明者への見舞金10万円▽住宅の全半壊者10万円▽母子・父子世帯や重度障害者世帯など要援護家庭激励金30万円--などとなった。
日本赤十字社には今回、義援金の受け付けを開始した14日から22日までの9日間で229億円余りが寄せられた。開始から2週間で164億円が集まった阪神大震災の際の額をすでに上回っている。しかし、同社企画広報室は「東日本大震災は阪神大震災とは比較できないくらい被害も大きく、被災者も多い。さらに多くの支援をいただけるとありがたい」と話す。
特定の県の被災者を支援したい場合は、宮城県、福島県、岩手県の各県が設けた窓口を利用するといい。宮城県や福島県は、義援金とは別に、県の災害復旧対策の財源にあてる寄付も募っている。
一方、被災地で活動するボランティア団体や各種NPOを支えるための支援金も各所で集められている。中央共同募金会も、災害ボランティア活動のための支援金を別途、募っている。
寄付文化の広がりを目指すNPO法人日本ファンドレイジング協会の徳永洋子事務局次長は「寄付や義援金について多くの情報が流れているので、自分の気持ちに合った寄付先を見極めてほしい」と呼びかける。
日本赤十字社の担当者も「『義援金』といっても、被災者に渡すか、活動資金にするか必ずしも区別がついていない場合もある。目的や使い道をよく確認して」とアドバイスしている。
また、個人の寄付は、国税庁が指定する「特定寄付金」に該当すれば、寄付金控除の対象となる特定寄付金は国や地方公共団体日本赤十字社中央共同募金会などへの寄付が該当する。年間の寄付金合計額から2000円を差し引いた額が所得から控除される

震災後、義援金集めなどと偽って金銭をだまし取ろうとする詐欺や、被災者支援と呼び掛けて商品を売りつけようとする便乗商法が目立ち始めており、警察庁や国民生活センターが注意を呼びかけている。
警察庁によると、電話やファクスで実在する団体や自治体職員をかたり、「被災者支援の義援金」などと称して特定口座への振り込みを求めるケースが多い。「公的な団体が電話などで一般家庭に振り込みを求めることはない。不審に思ったら最寄りの警察署に相談してほしい」と呼び掛ける。また、国民生活センターによると「義援金として寄付するので、貴金属を売ってほしい」「北海道産のカニを半額で買わないか。売上金の一部を震災の義援金にする」などの電話勧誘が多いという。
インターネット経由で寄付を受け付ける団体も増えているが、偽の義援金募集サイトに誘い込み、金銭やクレジットカード番号をだまし取るネット詐欺も増えている。安全対策ソフト大手のマカフィーによると、メールやツイッター、フェイスブックなどで「被災者を救うための基金を作りたい」とのメッセージを送りつけ、偽サイトに誘い込んで金を振り込ませる手口だという。同社は「怪しいメールの依頼には絶対に応じないで。実在の団体に見せかける場合もあるが、メールなどからサイトにアクセスすることはやめてほしい」とアドバイスしている。【山崎友記子、中西拓司】=次回は28日掲載
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 ◇被災者への見舞金となる窓口

■日本赤十字社
・郵便振替00140・8・507
「日本赤十字社 東北関東大震災義援金」
■中央共同募金会
・郵便振替00170・6・518
「中央共同募金会 東北関東大震災義援金」
■宮城県災害対策本部
・郵便振替00170・0・526
「東北地方太平洋沖地震災害」
■岩手県災害義援金募集委員会
・郵便振替00100・2・552
「東北地方太平洋沖地震災害」
■福島県災害対策本部
・郵便振替00160・3・533
「東北地方太平洋沖地震災害」

 ◇支援活動をする団体への寄付先

■ピースウィンズ・ジャパン(東京都)
世界各地の紛争、被災地で活動するNGO。スタッフが現地入りし、宮城県気仙沼市などの避難所で衛星電話の無料開放や救援物資の配給、医師の派遣など行っている。郵便振替00160・3・179641「ピース ウィンズジャパン」(通信欄に「東日本震災」と明記)、三井住友銀行桜新町支店(普)6723184「特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン」
■日本NPOセンター(東京都)
被災地で活動するNPOなどに資金援助する「東日本大震災現地NPO応援基金」を設置した。郵便振替00180・0・362002「日本NPOセンター」(「NPO応援基金」と明記)、三菱東京UFJ銀行東恵比寿支店(普)3046512 「日本NPOセンター応援基金口」
■日本災害救援ボランティアネットワーク(兵庫県西宮市)
阪神大震災をきっかけに発足。新潟県刈羽村などへ避難した被災者への支援を始めた。県外へ避難した被災者の救援を拡大していく予定。郵便振替00900・5・29560、三井住友銀行西宮支店(普)7022161、いずれも名義は「NVNAD国内支援口」
■あしなが育英会(東京都)
震災で親を失った遺児や、著しい後遺障害を負った子に対し、未就学児には10万円、小・中学生20万円、高校生30万円、大学・専門学校・大学院生には40万円の「特別一時金」を給付、遺児の心のケア活動も実施する。郵便振替00130・7・776732「あしなが東日本大地震・津波遺児募金」

 ◇災害復旧対策への寄付

■宮城県
消防課産業保安班 電話022・211・2377
■福島県
生活環境総務課 電話024・521・7669