2011年3月21日月曜日

過去の法人税還付を検討 復興支援策で政府

過去の法人税還付を検討 復興支援策で政府
固定資産税は非課税に 11年度以降

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2011/3/21 2:00


 政府は東日本大震災の被災地の復旧や復興を急ぐため、緊急の税制減免策を導入する検討に入った。大震災による損失を補填するために2010年度以前に納めた法人税を還付するほか、工場や住居の復旧が困難な企業や個人の固定資産税を11年度分以降は非課税とするのが柱。被災者の生活支援を中心とした緊急対策に続き、税制減免や危機対応融資などの復旧・復興支援の枠組みを整える。
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 政府は被災地の支援・復興策を3段階で実施する。すでに動き始めている救援物資の確保など生活支援の緊急対策に続き、今後は(1)11年度第1次補正予算を軸とする被災地の復旧支援策(2)中長期の計画に沿った復興支援策――の検討を急ぐ。ただ菅直人政権は求心力が低下しており、実効性のある対策を打ち出していくには野党の協力が欠かせない。
 復旧支援策では、被災企業が過去に支払った法人税を払い戻す「繰り戻し還付」の導入を検討する。前年度の所得に対する震災損失額の割合に応じて法人税の還付が決まる仕組み。震災による損失額が所得並みに膨らんだ企業では法人税が全額戻る。前年度の所得が少ない企業には前の年度の納税分からの還付を認めることも検討する。
 東日本大震災が起きた3月11日から1年の間に終了する事業年度に発生する損失について還付を適用する方針。本社が東京にある企業でも東北の生産拠点が損壊していれば、損失に見合う法人税の還付が受けられる。
 繰り戻し還付は阪神大震災時にも実施したが、今回は大きな被害を受けた地域が青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県にわたる。事業所数も兵庫県の約24万に対して東日本5県は約48万と多く、減税額は阪神大震災時の約650億円を大幅に上回るとみられる。
 このほか、工場などを建て替える場合にかかる登録免許税の減免や、損壊した機械装置を買い替えた場合の割り増し減価償却の案も出ている。
 土地や建物にかかる固定資産税は、復旧が困難な地域を対象に11年度以降の納税分を非課税とする方向。水没などで課税対象がなくなったケースもあるためだ。阪神大震災時には工場や住居を建て替えた場合に固定資産税を軽減する措置を取った。今回は同様の措置を盛り込むとともに、非課税措置も実施する。具体的な条件は今後調整するが、居住不能になった場合などを想定している。