2011年3月29日火曜日

大阪のホテル料金、東京超え 企業の西日本シフト反映

大阪のホテル料金、東京超え 企業の西日本シフト反映

2011/3/29 0:30
 東日本大震災を受け、東京と大阪でホテル市況の明暗が分かれている。都市ホテルは東京でキャンセルが相次いだのに対し、大阪は企業が一時的な拠点として使うなどの需要が増加。価格比較サイトのカカクコムの調べでは、大阪の宿泊単価が東京を大幅に上回る異例の動きとなっている。震災直後に比べて価格差は縮小したが、企業の西日本シフトを反映しているといえそうだ。
 カカクコムは、同社が運営する宿泊予約サイト「yoyaQ.com」で販売したホテルの宿泊単価を集計している。3月15日以降、平日の場合、大阪が東京より1000~7000円高い状態が続いている。11日に震災が起きる前は、法人需要の好調を映し東京が高いことが多かった。前年同期と比較しても、16日以降、東京が前年割れなのに対し、大阪は前年実績を上回る。
 帝国ホテルは80%を超えていた帝国ホテル東京(東京・千代田)の客室稼働率が震災後は40%前後に落ちた。一方、帝国ホテル大阪(大阪市)は春休みのレジャー需要も重なり「客室を用意できないほどだ」という。
 都心の他の大手ホテルも震災直後こそ帰宅困難者などの宿泊利用が増えたが、企業の研修や海外客のキャンセル・延期が相次いでいる。急きょ発生した空き部屋を安値で販売せざるをえない状況だ。
 外資系企業を中心に大阪に本社機能や従業員を一時的に移す動きが出ている。ホテルの複数の部屋を一定期間利用するケースが多い。ホテル阪急インターナショナル(大阪市)は80%台後半だった稼働率が5~7ポイント上がった。原発問題や計画停電の影響などを懸念し、「関東在住の一般客の利用も目立つ」(同ホテル)という。
 ただ、足元では東京に再び拠点を戻す企業もある。スウェーデンのカジュアル衣料店、ヘネス・アンド・モーリッツ(H&M)は、大阪に一時移転した本社機能を23日付で東京に戻した。