民主緊迫、分裂含み 不信任案で最終攻防、午後採決へ
執行部「賛成なら除名」
- 2011/6/2 11:33
自民、公明、たちあがれ日本の野党3党が提出した内閣不信任決議案は2日午後、衆院本会議で採決される。民主党内では小沢一郎元代表と鳩山由紀夫前首相らが賛成する意向を表明しており、大量造反が確実な情勢。党執行部は賛成者を除名する方針を示し、引き締めに懸命だ。分裂必至の状況で、双方の多数派工作が続いた。否決の場合も政権の弱体化は避けられない状況だ。
不信任案は出席議員の過半数の賛成で可決する。可決の場合は憲法69条の規定により、首相は内閣総辞職か衆院解散・総選挙を迫られる。
共産、社民両党は棄権の方針。欠席・棄権する議員の数にも左右されるが、民主党議員が全員本会議に出席した場合、同党議員約80人が賛成に回れば可決の可能性が高まる。元代表が1日夜に支持グループと開いた会合には、約70人の議員が出席していた。
首相は2日午前、与党の国民新党の亀井静香代表と官邸で会談。亀井氏は「混乱を長引かせるわけにはいかないので、当面の原発対応などが終わった後で、退陣する腹を固めるべきだ」と首相に自発的辞任を求めた。首相は「考えておく」と答えた。
その後、首相は鳩山前首相と会談。鳩山氏も首相の自発的辞任などによる事態の収拾を求めたとみられる。
大量造反が避けられない見通しになり、民主党の安住淳国会対策委員長は2日午前、記者団に「不信任案に賛成した者は何人でも、誰でも除名となる」と表明。本会議での採決直後に党役員会と常任幹事会を開いて処分を決める考えを示した。
執行部は賛成の可能性がある議員に欠席を促す戦略もとり始めた。安住氏は態度を決めかねている議員に電話で「不信任案が可決された場合、首相は必ず解散する」と語った。「欠席者は必ず救う。処分対象外にする」と欠席を呼びかけた。
元代表を支持するグループは同日午前、国会近くのホテルに約50人を集め、結束を確認した。1日に総務政務官の辞表を提出した内山晃氏は記者団に「危機だからこそ代表を代える。首相は早く辞めろ」と語った。復興基本法案を審議する東日本大震災復興特別委員会の黄川田徹委員長も出席し、不信任案に賛成する意向を表明した。
一方、前原誠司前外相を支持するグループ約40人と旧民社党系の議員20人強は同日午前、それぞれ会合を開き、不信任案に反対することを確認。党内で不信任案に同調する議員について前原氏は「毅然として除名すべきだ」と表明した。
首相の退陣要求を繰り返す西岡武夫参院議長は2日午前の記者会見で「仮に不信任案が可決されても解散という選択肢はあり得ない」と指摘。可決時の衆院解散をちらつかせて引き締めを図る党執行部をけん制した。
