2011年2月26日土曜日

増えぬ人口、経済に重荷

増えぬ人口、経済に重荷
増加率ほぼゼロ、高齢化重く 現役世代の負担増す

2011/2/26付
情報元
日本経済新聞 朝刊


 人口の伸び悩みが日本経済の重荷になっている。2010年の国勢調査の速報値によると、人口増減率は年率0.05%増とほぼゼロ。38道府県で人口が減少した。働く人が減れば、経済成長率は低迷し、高齢者の年金・医療を担う現役世代の負担も増す。地域によっては行政サービスの低下を招く恐れがある。
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 昨年10月1日時点の日本の人口は1億2805万6千人。05年に比べ28万8千人増えたが、増減率は過去最低となった。
 日本に住む外国人数の増加を考えれば、日本人の人口は減少している可能性が高い。厚生労働省の人口動態統計によると、07年から一貫して日本人の出生数は死亡数を下回る「自然減」の状態が続いている。
 統計上の誤差という可能性もある。今回から国勢調査は郵送での回答を認めたほか、東京都ではインターネットでも調査票を提出できるようにした。これによって調査に答える人が増えたという要因も考えられる。
 日本の人口増加率は、主要先進国の間でドイツとともにゼロ近辺。世界をみても人口がマイナスに陥っている国はロシアやポーランド、ハンガリーなど社会主義体制が崩壊し、混乱した一部の国にとどまる。
 人口減は労働力人口の減少を招き、日本経済の潜在成長率の低下につながる。総務省の労働力調査によると、労働力人口は08年以降はマイナスが続く。1980年代には4%半ばだった潜在成長率は足元では0~1%に低迷。「環太平洋経済連携協定(TPP)への参加や規制緩和などで生産性を高めなければ経済は活性化しない」とBNPパリバ証券の河野龍太郎氏は話す。
 人口の底割れを防ぐには高度な技能を持つ外国人や看護師・介護士らの受け入れも一つの方策となる。人口減社会を見据え、移民政策の是非を検討する必要がある。