2011年8月18日木曜日

オフィスビル、敷金・礼金最低水準に

オフィスビル、敷金・礼金最低水準に 東京23区6月、賃料の8.6カ月分
2011/8/4付

 オフィスビルに入居するテナントがビルオーナーに支払う敷金・礼金が、調査を始めた1990年代以降の最低水準に低下している。市況の本格回復が遅れる中、敷金など入居当初の負担金を減らしてテナントを獲得するオーナーが多いためだ。取引慣行の透明さを求めるテナントの意向も背景にある。

 米系不動産サービス会社、シービー・リチャードエリス(CBRE、東京・港)によると、東京23区のオフィスビルの預託金(敷金など一時金の合計)平均額は、6月は賃料の8.6カ月分(3.3平方メートル当たり10万7100円)。直近のピークだった2008年9月の9.4カ月(13万5200円)から0.8カ月減り、96年の調査開始以来の最低水準となった。


テナント獲得競争は引き続き激しい(東京都千代田区)

 大阪の預託金平均額も6月は10.1カ月分(8万4500円)と2008年3月の10.9カ月(9万7600円)に比べ0.8カ月分下がり、過去最低を記録した。

 預託金はテナントが契約時にオーナーに預けるもので、敷金が大半を占める。オフィスビル市場は08年秋のリーマン・ショック直後から続いた需要減退に歯止めが掛かってきたが、テナントの獲得競争は引き続き激しい。賃料の引き下げに加え、敷金の軽減や一定期間の賃料を免除する「フリーレント」など賃料以外の条件見直しで顧客を獲得するビルオーナーが多い。