中東混迷、近畿の企業が警戒 出張自粛の地域拡大
- 2011/2/25 5:55
エジプト、リビアなど中東情勢の混迷の影響が近畿経済にも広がっている。旅行会社はエジプト向けなどのツアーを中止。パナソニック、シャープなどメーカーは出張自粛の地域を拡大、商談を延期したり、営業拠点の開設を見合わせたりする企業もある。原油価格の上昇が近畿経済に与える影響を懸念する声も出ている。
出張の自粛・禁止は大手メーカーなどで拡大している。パナソニックは1月末までにエジプトへの出張禁止とチュニジア、ヨルダン、イエメンへの出張自粛を決定。22日までにリビア、モロッコなどへの自粛も通達した。現在、11カ国への出張を自粛・禁止する。
シャープは2月1日にエジプトへの出張を禁止。22日にはリビアなど4カ国は全土、サウジアラビアなど5カ国は一部地域を出張禁止または自粛対象とした。
プラント配管の関連品製造のオクダソカベ(大阪府東大阪市)は、アラブ首長国連邦(UAE)での石油化学プラント向けの商談のため、夏前にも奥田保幸社長が現地へ出張する予定だったが、延期する。兵庫県内のある上場メーカーは「エジプトのカイロに営業拠点を設けるはずだったが、混乱のため見合わせている」と打ち明ける。
エジプトの大手タイルメーカーの国内総代理店で、内装用高級タイルを手掛けるセラミカ・クレオパトラ・ジャパン(大阪市)は現地のストライキの影響で製造元の工場が止まり3月末~4月上旬にかけて国内で施工開始する予定だった物件に影響が出そうだという。
石油パイプラインの継ぎ手などを生産する淡路マテリア(兵庫県洲本市)は「バーレーンの反政府運動の高まりが気がかり」。真珠取引業者で構成する日本真珠輸出組合(神戸市)は「真珠の有力生産国のサウジアラビアの価格動向が神戸の取引に影響を与える可能性もある」と指摘する。
旅行会社への影響も深刻だ。JTB西日本は中東情勢の悪化を受けて、3月末出発分までエジプトやチュニジア方面への海外旅行の催行中止を決めた。予約客には電話などで個別に事情を説明しており、1~3月の関西発で約600人に影響が出る計算になる。
この時期のエジプトは過ごしやすい気候で高齢者から卒業旅行の大学生まで幅広い人気がある。JTB西は8日間で25万~40万円のツアーを中心に販売するが「要望に応じて欧州旅行などへの振り替えを提案している」。