京阪電鉄、子育て世代を沿線に 高齢者の住宅を転貸
- 2011/2/16 5:45
京阪電気鉄道は沿線活性化策の一環で、一般社団法人の移住・住みかえ支援機構(東京・千代田)と提携する。機構を介して高齢世代の住宅を借り上げ、子育て世代に転貸する仕組み。自社で手掛けた住宅地では高齢化の進展で空き家が目立ち始めている。子育て世代を呼び込んで鉄道や商業施設の利用増を狙うほか、高齢世帯の転居ではグループのビジネス強化につなげる。
3月から事業を始める。子会社の京阪電鉄不動産(大阪市)を中心に、約80人の社員がハウジングライフプランナーなど必要な資格を取得。沿線の高齢世帯などから住み替えの需要をくみ取り、賃貸希望の子育て世代に転貸する仕組みで、実際の貸し借りは機構を通して行う。
住まいの大きさや築年数などは問わず、入居者が決まれば機構が賃料を貸主に保証する。賃料は周辺相場を参考に、1~2割安くする見込み。借り主とは3年間の定期借家契約を結び、契約の更新期には優先して再契約できるようにする。耐震性能や劣化度合いなどで一定の基準を満たさなければ、貸主負担で補修や改修をする必要がある。
京阪電鉄はグループで手掛ける分譲マンションや高齢者専用住宅を貸主に取り次ぐなど、関連事業への波及効果を見込む。駅広告の掲出や折り込みチラシの配布などを通じ、沿線住民への浸透を図っていく。
同社が開発した住宅地では、「子育てを終え、広い家を持て余すシニア世代が増えている」(同社)。他地域への転出で空き家が目立つ地域も出始めており、放置すれば治安上の問題につながりかねない。会社を退職して通勤電車に乗らなくなった世代に代わって子育て世代を呼び込めれば、通勤や通学で鉄道の利用者を増やせる相乗効果も期待できる。